KISS AND SAY GOOD-BYE






「はい、李支社長。」



『で、営業して枠を買い取るって、何処のテレビ局に行くつもりなんだい!?』



「今、私が視聴者としての考えで言うなら、新星MUSICの歌手やアイドル、その他にも女優や俳優が同時に出れる番組は、ほぼバラエティー番組に絞られるでしょう。

バラエティー番組に力を入れていて、視聴率が望めるのは、ひまわりテレビが一番かと思います。

しかし、ひまわりテレビのゴールデンタイム、例えば土曜日の21時からとかはドラマで高視聴率を上げていますから手に入れるのは困難でしょうし、月曜日の21時からは、他局のドラマが根強い視聴率の高さを誇ってますので、避けたいです。

で、20時からのオンエアなら、ドラマにも被らないし、ロングランの番組が有るのは金土日の3日間に集中していますので、月曜日から木曜日の20時枠は常に入れ替わってますので、手に入れやすいのではと思うのですが。」



『常に入れ替わってるってことは、視聴率を稼ぎにくいからと言うのも考えられるんじゃないかな!?』



「確かにそれもあるかもしれません。

通常、この時間帯はゴールデンタイムと言われるくらいの高視聴率が望める時間帯ですが、各局がしのぎを削って視聴率を上げるために頑張っていますので、どうしても面白くないと他局に持っていかれて仕舞う戦場となっています。

以前、ひまわりテレビのプロデューサーから聞いたことが有るのですが、ひまわりの上の人達は、時間帯や曜日によって、視聴率のボーダーラインを決めて、そのボーダーラインを何周か以上続けて割るような番組は、1クール待たずに打ち切ることも有ると言ってました。

だから、視聴率の稼ぎにくい時間帯を任された時には、毎週胃が痛くなるとか…。」



『その時間帯が平日の20時なんだな!』



「はい。

平日と言っても、20時と言えばゴールデンタイムですから、上層部が決めているボーダーラインの%も高いと言う訳です。」



『その時間帯を敢えて遣るわけだな!』



「敢えてと言うか、早急に手に入れるなら、この時間帯が一番手に入れやすいかと思ったのです。」



『それじゃあ、仮に木曜日の20時から毎週1時間の枠を押さえたとしても、視聴率が取れなきゃひまわりテレビから打ちきりの申し出が有るんだな!』



「はい、そうなると思います。

スポンサーも絡んできますから。

視聴率の表は、スポンサーにも毎回届けられますので。

視聴率が下がるようなら、スポンサーとしても手を退かざるをえないって訳です。

スポンサーが減額してきたり手を退いた場合、局も煽りをくいますから。」



『それにしても業界のことを良く知っているなぁ。』



「一応、勉強しました。

自分のところのタレントを売り込むのに、どのタレントをどの番組に出せば結果を残しやすいかとか、このタレントはどの局に売り込めば、起用して貰えるかって言う、番組やテレビ局とうちのタレントの、相性なんかを表にまとめてみたり、新番組の話が入ったら、どんなスポンサーが付いているのか、こっそり調べたり、プロデューサーやディレクターの好みなんかも自分なりにまとめてみたりして、それをもとに営業掛けてます。」



『おいおい、桧山君は、うちの第二営業部の営業スタッフより出来が良いんじゃないか!?

社長、彼をうちにくださいよ。』



『ハハハ!!!

それは、玄田課長に頼むんだな!

アルバイトの人事だから、彼がOKさえすれば、第二だろうが第一だろうが、どこでも良いぞ!

桧山君としても、営業部が気に入っているから、第一から第三まで、いろんなタレントやアーティストのマネージメントをしてみたいだろうから。

そうだろ桧山君!?』



「はい!

営業部なら、何処でも遣ってみたい気持ちは有ります。

でも、今は留学生の件が落ち着かないと、ほったらかしで移動はしたくありませんです。

彼等の事は、一年以上前から見てきていますので、レギュラーが無くなった今、どうにか頑張れる道を見つけてあげたいのが先です。」



『と言う訳だよ。

それに、今は玄田課長も絶対に手放さないだろうよ。

玉元課長、君なら彼みたいなアルバイトが第二営業部にいたら、他の課に移動さすかい!?』



『間違いなく手放さないです、社長。』



「みんな、大袈裟過ぎますよ。

私は、学生アルバイトなんですよ。」



『ハハハ、桧山君、これが他人から見た君の評価だよ。

頑張ってきてくれたからこそ、皆が認めてくれていると言う事さ。

まぁ、移動の件はひとまず置いといて、早速皆で営業を掛けて、桧山君以外のスタッフも、新星MUSICの自社制作番組を考えといてくれ。

それと李支社長、君は3KAN4ONに厳重注意をして、ギャランティーの3ヶ月間20%減額を通告しておいてくれ。

経理の方にも、その胸を伝えときなさい。』



『はい、畏まりました。』



話し合いも食事も一段落ついたとき、丁度社長秘書から連絡が入り、清算を済ませて全員で会社に戻った。