定刻より5分遅れでライヴが開演した。



1曲目は、ナイトメアの代表作の【コンクリート ジャングル】からだ!



ベースがC G Am Em Fと8ビートを刻んで行く。



ドラムがそれをバスタムとスネアで被せていく。



そして、いきなりステージが明るくなったかと思うと、Seijiさんのシャウトで会場のボルテージが一気に上がっていった。



隣の美華も立ち上がって拳を上に突き上げていた。



ステージ上では、紫をベースに黒・銀・赤の入ったド派手な衣装に身を包んで、怪しげなメイクをしたロングヘアーのナイトメアのメンバー達がガンガンに演奏を続けている。



会場の観客の中にも、悪夢ニストと呼ばれるナイトメアのコスプレをした信者が沢山いた。



ライヴが終わって、美華と一緒にナイトメアの話で盛り上がりながら駅へと続く道を歩く。



駅のコインロッカーに預けている荷物を取り出して、プラットホームに。



『楽しかったね。』



「だね!

いよいよ夏休みも終わりかぁ!」



『また離ればなれなるね‼』



「バイト先で会えるじゃん!」



『そうだけど……。』



「今度の休みには、水族館に連れていってあげるから、そんなに落ち込まない!」



『うん!

あとね、クラブって処にも行ってみたいんだけど……。』



「えっ!

美華、踊れるの!?」



『踊れないけど…、行ったこと無いから、一度だけエクスピリエンスとして。

ねぇ、良いでしょう!?』



「経験ねぇ…。
まぁ良いけど、踊らなかったらつまらないよ。

それに、踊らないでテーブルからホールを眺めていたら、ナンパ待ちと勘違いされるから、気を付けてな!」



『りゅうって、詳しいのね!』



「そりゃ、うちの姉貴はクラブ入り浸ってたからなぁ。」



『彩さんが!!

嘘!

あんなおしとやかで、物静かなお姉さんがクラブに入り浸ってたなんて、とても信じられない!』



「騙されてんの!

派手で狂暴な姉貴なんだから!

彼氏も騙されてるし!

普段、俺に対するしゃべり方なんて、主人が召し使いに命令する様な感じなんだから!

彼氏から電話が掛かってくると、猫なで声を出して、おしとやかレディを装っているのを見て、まじで女って恐ぇって思ったんだから。」



『まだ信じられないわ。

優しそうなお姉さんなのに。』



「すぐにしばいてくるんだぜ!」



まだ信じられないみたいで、目を大きく見開いて驚いていた。



クラブは、週末に行くとして、陶一郎や彼女の谷さんも誘って大勢で行こうと思う。



まこちゃんと彼女の愛ちゃんは、多分行かないだろうなぁ。



煩いところが嫌いな二人だから。




他愛もない話をしていたら、新宿に着いていた。



そこからは、俺の車で美華を自宅まで送って、彼女のご両親に挨拶をして帰路についた。



もうすぐ23時だ。



あっという間に休みも終わって、明日からまたバイトだ!



さて、シャワー浴びて寝るとするか。