食事を済ませてコーヒーも飲んで、美華とノンビリした時間を久しぶりに過ごす。
なんだか、それだけで充実した気持ちになる。
最近また再開したアクリルペイントの話や、共通の友人となったまこちゃん(平井誠)と彼女の愛ちゃんの婚約が年内に決まった話、そして来月遣ってくる新たな韓国からの留学生の話なんかを、止めどなく話して、気が付けば午後2時を過ぎていた。
おあいそを済ませて外に出ると、空調の効いた店内とは違い、ムッとするほどの暑い空気が体にまとわり付いてくる。
『マジで暑いわね!
もう一回店内に戻りた~い!』
「ハハハ……、だよね。
この先に小物雑貨のお店が在るから、そこに入ろうか!?」
『行く行く!
この辺詳しいの!?』
「まぁね!
俺がまだ中学生だった頃、何度か武道館にライブを見に来たんだけど、開場迄の間、この辺を良くブラブラしてたんだ!」
『元彼女と!?』
「違ぇよ!
中学の時なんか、特定の彼女とかいなかったし、大抵まこちゃんか陶芸家の息子の吉川陶一郎の3人で来てたんだ!
趣味や性格はバラバラだけど、音楽の趣味は案外気があってたんだよなぁ。」
『そうなんだ。
で、何で小物雑貨のようなお店に男3人で入ってたの?
なんか意外。』
「だろ!
大体は、陶一郎の趣味だな。
あいつの部屋に入ったら良くわかるけど、部屋ん中の至るところをかっこ良くディスプレイして、自分なりにアレンジした小物で、整えてるって感じかな。
それを写真に撮って、インテリア雑誌に投稿なんかもしてるんだぜ!
陶芸家の息子なのに、インテリア家のような部屋だから。」
『人の趣味って分からないもんだね。
吉川君ったら、サッカーの話しばっかだから、男臭い部屋なんだと思ったわ。』
「だよな!
おっと、ここだよ。
色んな物が有るから。
面白いよ。」
『ホントだ‼
小さな観葉植物まである。
1鉢100円って、めちゃめちゃ安いし!』
「だろ。
こっちには、変わったかたちの食器や調理アイテムが!
こっちの通路は、コルクボードや写真たて、アロマポットからアロマキャンドル、こっちは人形達も有るよ。」
『素敵なお店ね。
来て良かったわ。』
「まだ時間有るから、ユックリ見てて良いよ。」
『うん!』
「お姉さん、このルームランプいくら!?」
『こちらは8,400円ですね。
明るさを調整できるタイプなんで、ベッドサイドに置けば、就寝中の微灯にもなるし、読書するときなんかはこのアームを延ばして手元灯の様にも使えますよ。』
「オシャレな上に、実用的なんですね。
それじゃあ、そのダークブルーのタイプを下さい。」
『はい、ありがとうございます。
持ちやすいように、箱に紐を掛けときますね。』
「助かります。」
『私は、これとこれとこれとこれを下さい。』
「随分買ったねぇ。
このケースなんて最高にいかしてるね‼」
『でしょ!
このケースに、アクリルペイントのセットを入れようと思うんだ。』
「そうなんだ。
イケてるよ!」
買ったものを駅のコインロッカーに仕舞ってから、俺と美華は東京武道館へと向かって歩いている。
後30分程で開場である。
凄い人だかりで、一般客に混じって結構有名な芸能人が何人も来ていた。
さすがNightmare(ナイトメア)である。



