この関東大会、1都9県( 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、長野県)で行われた地方大会での各優勝・準優勝者20名で競い会うのだそうだ。
勿論、聖美さんは都大会で優勝しているんだ。
小さい頃からお袋さんの側で頑張っていた彼女、実力は素人の俺にも判るくらい大したもんだ!
10時からスタートした関東大会、メンズ ヘアメイクアップのブースの前の観客席にも、他の観客席同様すごい数の人達が応援してくれていた。
俺は、鏡越しで美華も確認出来た。
聖美さんは、俺の髪をプレーンリンスした後で軽くシャンプーを終え、今はカットに入っている。
俺の長かった髪の毛も、今はアシンメトリーな感じにカットされていっている。
横目で隣のブースを覗き見たら、かなりショートにカットされているところであった。
30分くらいたった頃、カットを終えて軽く洗い流された俺の頭にタオルを被せ、水分を取りながらの頭皮のマッサージが施されている。
『どう!?
さっぱりしたでしょ!?』
「ハイ!
気持ち良いっす。」
『じゃあ、これからカラーリングしてからパーマ充てていくわね。
髪にも頭皮にも優しいオーガニックなカラーリング材とパーマ材だから心配しないでね。』
「分かりました。」
『疲れてない!?』
「はい、大丈夫です。」
『それじゃあ始めるわね。』
と言って、ワゴンを引き寄せコームと指を巧みに動かして、頭に被せたビニールキャップの空いた穴から、事前に部分ブリーチして束ねておいた幾つもの髪の毛の束を引っ張り出している。
「隣はもうパーマに入ってますが大丈夫ですか?」
『チチチッ!
私を誰だと思っているの!?
この聖美様に任せておけば問題無いしょ!』
「アッ!」
『どうしたの!?』
「いえ!
只、大学のツレが見に来てくれてたんで!」
『あらまぁ、あの子ね!
なんなのよ!
大学のツレがって、まるでボディーガードみたいなのに5人も囲まれて女王様みたいな扱いじゃない!』
「えぇ、まぁ……。」
『何者よ!?』
「藤浪副総理の娘っす。」
『まぁ、そうなの!
りゅう君、手を振ってるわよ。』
「恥ずかしいですね。
観なかったことにしときます。」
『それにしても副総理の娘さんって美人さんだよね。
モノにしちゃいなよ!』
「聖美さん!
何言ってるんですか!
むちゃくちゃ言わないでくださいよ。
あのボディーガード達に殺されますよ。」
『ハハハ!
ところで彼女さんって来てるの?』
「勿論です。
このブースの真正面に座っているピンクのTシャツにクリーム色のチュールスカートはいてる茶髪の子、わかりますか!?」
鏡の中を覗き込んで、聖美さんが頷いた。



