代々木第二体育館で行われる美容技術選手権関東大会。
午前9時からの受付
現在8時45分
すでに会場の受付には、事前に予選を勝ち上がってきた美容師や理容師が並んでいた。
今回は、
留め袖着付け部門
振り袖着付け部門
ヘアメイクアップ部門は、レディースとメンズの2部門にわかれている。
それと、ウィッグ部門の、全5部門に分かれている。
聖美さんが勝ち上がっているのは、ヘアメイクアップのメンズ部門である。
この部門は、関東一円から勝ち上がってきている20人で争う。
受付が終われば、自分のブースの鏡の前を綺麗にセッティングしていかなければならない。
前日に運び込んでおいた荷物を、ドレッサー前や移動式ワゴンに並べていく。
アシスタントは無しだ!
全て一人でやらなければいけない。
『大体こんなもんね!
あとは、ドライヤーとヘアースチーマーをチェックして……』
「聖美さん、どうしてこのヘアーメイクアップのエントリーをレディースじゃなくてメンズにしたんですか?」
『えっ!?そんなこと。
決まってるじゃない!
女の子の髪の毛をアレンジするより、カッコいい男の髪の毛をアレンジする方が燃える(萌える)からよ。』
「なんか、不純な動機たっぷりって感じですね。」
『何言ってるのよ。
昔から言うじゃない!
【好きこそものの上手なれ!】ってね!』
「 What one likes, one will do wellですね! 」
『何カッコつけて英語で言っちゃってるのよ!』
と言いながら、俺の後頭部に軽くツッコミを入れてくるほど、今日の聖美さんはリラックスしていた。
これなら、緊張して実力を発揮できないなんて事はないだろう。
『ところで彩は来てくれるって!?』
「姉貴は今日デートだって!
彼氏と後でちょこっとだけ覗くって言ってたけど、どうだか!?」
『まぁ、昔から彩は友情より愛情を選択する子だったもんね!』
「ハハハ……!
そのかわり、俺のツレが応援に来てくれますから。」
『彼女さんも来るのかな!?』
「美華も来ますよ。
お願いだから聖美さん、変なことしないでくださいよ!」
『変なこと!?
そんな事したこと無いじゃん!』
「良く言いますよ!
取り敢えず、大学のツレが4~5人来ます。
絶対に勝ちましょうね。」
『まぁ、関東大会くらいで負けてたら駄目だわよね。
目指すは全国大会優勝なんだから。』
「全国大会ですかぁ……。
ってことは、もしかしてこの大会で勝ったら、まだモデルやんなきゃいけないんですか!?」
『そんなこと、当たり前じゃない。
私の頭の中には、既に全国大会で披露するヘアスタイルがインプットされているんだから。』
「マジですかぁ……。」
『何よ!?嫌なの!?』
「だってバイトが……」
とんでもない事になったなぁ……
勝つのは嬉しいけど、このあともカットモデルを続けていたら、新星MUSICの方が疎かになっちゃうしなぁ。
悩む隆一であった。



