書類作成も終わり、一段落着いた俺と美華は、営業三課の皆と社員食堂へ向かった。
「安川係長、出社したときに聞いたんですが、社長が新事業の為に昨日から韓国入りしてるそうですが、何を遣るか聞いてますか!?」
『あぁ、あれか!
聞いてるぞ!
新しいレーベルを立ち上げるそうだ!』
「新しいレーベルをですか!?」
『そうだ。
こんどは、新人発掘オーディションをテレビで公開オーディションとして遣るんだけど、ドリーム プロジェクトと銘打って、24人組の歌って踊れるアイドルグループを売り出すそうだ。』
「普通のアイドルとかと同じじゃないんですか!?」
『この新レーベルに所属するタレントは、メンバーを固定しないで、常に成長し続けるものでメンバーはオーディションから選ばれて、常に新しいメンバーが定期的に入ってくるものなんだ。』
「そうすると、どんどんメンバーが増えていくじゃないですか!?」
『実力が付いてきたメンバーは、順番にそのプロジェクトから独立して、従来からあるレーベルの方へ移行されるそうだ。』
「常にフレッシュな感じのグループを維持していくレーベルなんですね!」
『まぁ分かりやすく言えばそう言うことだ!』
「公開オーディションですか……
観てみたいですね!」
『勿論、その番組は韓国KBS放送でのオンエアなんだが、新星MUSICのインターネット事業部が日本語吹き替えで、数日遅れで衛星放送を使って日本でもオンエアするそうだよ。』
「本当ですか!
楽しみですね。」
『リュウ、それって上手くいったら日本でも遣ってみたいわね。』
「美華もそう思うかい!?」
『勿論よ。
だって、テレビでやってた公開オーディション番組っていったら、昔遣ってた【スター誕生!】みたいなもんでしょ!
お母さんから聞いたこと有るけど、凄く盛り上がる番組だって聴いたわ。』
「確かにこの手の番組は盛り上がるけど、テレビ局主催のオーディション番組は色々と観てきたけど、芸能事務所主催の公開オーディション番組って聴いたことが無いもんなぁ……
社長の狙いは何処に有るんだろう……。」
『それは、社長が日本に来られた時に聞いてみると良いよ。
案外、狙いなんて単純なもんだったりするからな!』
「ハハハ…、そんなもんですか。
今、新星MUSICって幾つくらいレーベルが有るんですか!?」
『日本サイドは、今は1つだけだ。
韓国サイドも1つだけだが、これで韓国サイドは2つになるけど、どうしてだい!?』
「いえ、海外なんかではレコード会社のレーベルがメインとなってそのなかに事務所サイドの細分化された独自のレーベルを加えてやっているところが多いので、そのやり方をしているのかなって思っていました。」
『新星MUSICは、自社のレーベルと言うか、自社のレコード会社を持っているから、単一化してやっているんだよ!』
「そうでしたか。」
『でも、いずれはレーベルを細分化していった方が良いわよね。』
「どうしてだい美華!?」
『その方がタレントやミュージシャン、アイドル等、アーティストとしてのジャンルを分けて管理することによって、レーベルをブランド化することが可能なら、憧れのレーベルからデビューって言う付加価値もつけられるでしょ!
それに、その方が管理する上で分かりやすいじゃない。』
「美華って頭良い~!」
美華が顔を赤くして照れてる~!
『それって、良いと思うよ。
社長の方に提案しておくよ。』
「宜しくお願いします係長。」