『アルバイトスタッフで主任さんかい!?』



「はい、うちの社長の高山が、直接辞令を出したみたいで、私も驚いてます。

高校一年生の時も、系列のカラオケ店でいきなりの副店長から店長職までやりましたし、高校三年生の時に、企画室から今のタレントマネージャーの仕事に移動したんですが、その時は主任補佐の肩書きだったのですが、大学に入ると同時に補佐が取れました。」



『なかなか面白い子だねぇ。

桧山君と言ったかね!?』



「はい。」



『その正直な所も気に入ったが、それよりも高山社長がアルバイトスタッフを正社員と同じに扱うくらい君には何かが有るんだろう。

1度オーディションしてあげるから、その20人の留学生達をうちに連れてきなさい。

宣材写真はあるかい!?』



「こちらに御座います。

どうぞご覧ください。」



『おぉ~、なかなかのイケメン揃いじゃないか!

此方は女性か。

男子留学生の方は生き生きとした表情だけど、女子留学生の方はちょっと表情が固いねぇ。

彼女達、何か問題でもあるんじゃないかい!?』



「そういう訳じゃ……。」



『どうしたんだい。

正直に話してくれるんだろ!?』



「実は、男子留学生の方はわたくしが数千枚ほど撮影して、その中から選りすぐりを選んで作成したんですが、女子留学生の方は当社の広報部のスタッフが作成したものなんで…、それで違いが出たのだと思います。」



『そうかいそうかい!

何となく、高山社長が君に一目置いている理由がわかってきたぞ!

なるほどねぇ~!

君が作成したんだ!

それで、彼等はいつ来れるんだい!?』



「平日は当社の芸能スクールでトレーニングしておりますので、週末良いのですが、週末はひまわりテレビの収録が入っておりますので、無理を承知でお願い致します。

平日の午後3時半以降でお願い出来ないでしょうか!?」



『本当に正直だね!

こちらとしては構わないが、週末にひまわりテレビの収録が有るなら、日曜日の生放送に出られないじゃないか!』



「ひまわりテレビの方のスケジュール調整は可能なんで大丈夫です。

宜しくお願い致します。」



『わかった。わかった。

それじゃあ、来週の月曜日の夕方4時半はどうかね!?』



「大丈夫です。

畏まりました。

それでは来週の月曜日、またお伺い致します。

本日はお忙しい中、本当に有り難うございました。」



『うむ、礼儀も問題なしだな!

どうだい、うちでアルバイトしてみないか!?』



「いやぁ、それはちょっと……。」



『ハハハ!

冗談だよ。

それじゃあ、待ってるからね!

楽しみにしてるよ。』



俺は、90度の最敬礼をして、その場を後にした。




……新星MUSICの桧山君かぁ……



なかなか面白い子だなぁ……



高校一年生から社員扱いされるくらい出来るスタッフなんて、うちにも欲しいぞ!!!



頭の回転も早いし、正直な所も気に入った!



あれが作戦なら、なお凄いんだろうが、たぶん彼の性格だろうなぁ~。



今度会うときは、もっと楽しくなりそうだ!



一人にやけるプロデューサーの櫻井 周治であった。