『君達には、今いる留学生達のマネージメントにあたって貰いたいんだよ。』
「タレントマネージャーを遣るんですか?」
『そう言うことだ。
勿論、君達はまだ学生だから正社員のマネージャーについて現場に同行したり、仕事を取ったりして欲しいんだ。
今いる留学生達の査証は、ちゃんと就労資格を取得しているから、ドンドン売り込んできて欲しい。
そして、仕事を取ってきたら、活動内容を毎回まとめて入管に提出しなければいけないんだが、その書類の書き方と入管の手続きも、覚えてもらうからね。』
「そんな重大な仕事に私達が携わって構わないんですか?」
『何を今更言ってんだ。
今までだって、ずっと重大な仕事に携わって来たじゃないか!
それが、対人間となると怖じ気づくのかい!?』
「イヤッ、そ…言う…訳じゃ」『だったら、頑張って挑戦してみなさい。
確か、2年前の正月、うちのゴルフコンペに参加した時に言ってたじゃないか!
大学を卒業したら、新星MUSICに入社して頑張りますって!
だから、予行演習のつもりで遣ってみたら良いじゃないか!
最初から何でも完璧にこなせる人間なんて、早々いるわけ無いんだから、失敗を恐れずに何でもトライだ!
上司が居るんだから、ちゃんとフォローしてくれる筈だから。』
「分かりました。
頑張ります。」
『私も、頑張って、遣れることを遣っていきます。』
『二人とも、そのいき!そのいき!』
『それにしても、社長!
どうして私達に、いつも大事なポジションで働かさせてくれるんですか!?』
『楽しんでくれるからだよ。』
「楽しんでくれる!?!?!?
どう言うことでしょう?」
『初めて会ったときから君達は、私が何気なく投げ掛ける問題を、いつも一生懸命解こうとしてたんだよ。
こちらが何も言わなくてもね!
それも二人がお互いに意見なんか出しあって楽しそうにね!』
「二人ともクイズ番組好きだからなぁ……」
『カラオケの時が始まりだったね!』
『そうでしたね!
高山社長が、新たにカラオケのお店を作っているから、そこを手伝って欲しいって言われたけど、その前にこれからの10年で【新星MUSICここに在り!】ってくらいの大きな会社にしたいって海で言ってたでしょう!?』
『あぁ、確かにそう言ったな。』
『その言葉がきっかけなんですよ。』
「そうなんです社長。
カラオケのお店を作ったところで、芸能プロダクションとか音楽業界の中で、トップの位置まで上がっていくのは大変な事だろうなぁって美華と、いや、滝本さんと話していたんです。
ですから、カラオケのお店を芸能界への入り口に出来ないかと思って考え付いたのがカラオケ大会なんですよ。」
『桧山君が私に、芸能界への一番の近道は何か!?なんてクイズみたいな質問するから、そっから次々と提案しあって、その結果があの一番最初のミーティングだったんですよ。』
『やっぱり君達は面白いよ。
私を退屈させないだけでも大したもんだ。
君達の功績を売上に換算したら、円で億を既に越えているって知ってたかい!?』
「億越え!?
まさかですよねぇ美華!?」
『そうよ、私達そんなに大したことまだしてないのに。』
『オペレーションシステムの設置や、学校の設置、イベントからNSフーズの建設、そして留学生招聘システム、挙げるときりがないんだからね。』
驚く俺達と笑う社長、3人が一瞬の沈黙の瞬間、グラスの中の氷がコロンと涼しい音をたてた。