『ウジウジするの嫌いだからはっきり言うね。
付き合って下さい。』
「俺も始めて美華を見た時に惚れてたし。」
『ホントに?』
「あぁ。
だから返事はイエス。」
お互いの気持ちが分かると、ますます仲は深まるもんだ。
彼女の仕草ひとつ取っても可愛く思えてくる。
運ばれてきた料理を、二人で向かい合って食べる。
『ん~ん!美味しい!
このお肉トロトロ!
キムチも辛いけど美味しい!』
美味しそうに食べる彼女の顔に見とれてしまいそうになる。
「うちのキムチとソルロンタンは、相性が良いんだから。
このトラジのナムルも食べてみて!」
『美味しい!
この食感、クセになりそう。
トラジって何なの?』
「キキョウの根っこなんだよ。
ナムルって言うのは、韓国風オヒタシの事なんだ。」
『桧山君って、料理に詳しいね!
これって、パパのお酒のおつまみにも合うかも!?』
「良かったら、親父さんに持って帰ってあげて。
ばあちゃんに言っとくよ。」
『良いの!?
ありがとう。』
食事がすんで、1階に降りて行った。
「ハルモニ(お祖母さん)、美味しかったって言ってるよ。」
『どうも、ごちそうさまでした。』
「じゃあ、遅く成らないうちに送ってやるよ。」
『良いよ!迎えに来て貰うから。』
「そう言えば、美華って何処に住んでるの?」
『うちは、世田谷区の成城だよ!』
「車だったら20分くらいは待たないといけないな!
直ぐそこに新宿駅が在るから、電車で送って行くから。」
『電車で!?』
「エッ、もしかして、美華って電車に乗った事無かったりして……。」
『無いよ。
いつも車で送り迎えだし、学校だってママが送迎してくれてるんだもん。』
「だよな。
ここからだと、小田急小田原線の区間準急で本厚木行きに乗って、山下で 東急世田谷線の三軒茶屋行きに乗り換えたら、だいたい20分くらいだよ!
だから、待ってる間に世田谷に着いちゃうよ。」
『凄い!
桧山君って、ホントに何でも知っているんだね。』
「大した事じゃないから。
因みに、俺は鉄道オタクでも無いから。」
『じ…時刻表オタク?
でも無いよね!?』
「当たり前じゃん!
ただ毎年、極真空手の試合が、世田谷区の総合運動場の体育館で開かれるから、小さい頃から良く行ってただけだよ。」
『な~んだ。』
「さぁ、ここで切符を買うんだよ!
ここで電車を待って……。」
ようやく着いた彼女の家は、すんごくデカイ。



