お腹がいっぱいになった俺達は、2階のマコチャンの部屋で勉強を頑張っている。
『桧山、この微分や積分ってどうするんだよ。』
「微分と積分を一緒にするなよ。
この問題は積分なんだから、こうやって……」
『リュウ、ベクトルの応用問題なんだけど…ベクトルの内積って…』
「これはね、別名スカラー積と言ってね、 ベクトル演算としての内積の定義は…… 」
『桧山君は、理数系が得意なんですね!』
『愛さん、彼はね、凄く頭が良くてね、中学の時は1年から3年まで、すべての試験で全校1位だったんだよ。
首席で卒業した凄い奴なんだよ。
それがまさかの武蔵野芸術高校に来るとは、回りは皆驚いてたんだから!』
『そうなんですか!』
『桧山君、どうしてここの機械科に入ったの!?』
『俺もナゾだったんだよなぁ。
桧山っちの実家は学習塾だし、お袋さんはダンス教室遣ってるし、機械なんて全く関係なさそうなんだもんなぁ~!』
『そういえば私も知らないわ!
リュウ、どうして武蔵野芸術高校の機械科に入ったの!?』
「それはな、試験で受かったから入ったんだよ。」
『行程じゃなくて、動機よ!
そのボケかたは、美華が入学してきた時に使ってたから!
全く似た者同士なんだから。』
「……ハハハ。
実はな、俺がまだ中学の時なんだけどな、俺が通ってる極真空手の道場に3つ年上の先輩が居て、その人がこの武蔵野芸術高校の機械科に居たんだ。
俺が入学してきた時には、もう卒業してたから、校内で会うことは無かったんだけどね。
先輩は、ここを卒業して、今は関西の巻田鉄鋼本社工場で働いているそうなんだけど、その人に勧められたんだ。」
『でも、勧められたって桧山君の実家には全く関係なさそうだし、機械科を選ぶには何か決定的なものが有ったんじゃないの!?』
『そうだよなぁ。
中学の時は俺に、【国学院大附属高校】を受験するって言ってたもんな!』
『国学院大附属高校!?
あそこって、メチャクチャ難しい高校じゃない。
まさか落ちたからこの高校に来たとか!?』
『そうなのリュウ!?』
「違うよ。
最初に国学院大附属高校の推薦も貰えるって言われていたし、先生はもっと上の国立の高校なんかも薦めてくれてたんだから。」
『へぇ、そうなんだ。
じゃあ、どうしてなの!?』
「それはな、その先輩が男女雇用機会均等法って知っているかい!? って聞いてきたんだよ。
それで、知っていますって答えたら、その 男女雇用機会均等法のお陰で女性のエンジニアが増えて、武蔵野芸術高校の機械科は8割が女性でハーレム状態だって言われてつい……」
『リュウ最低!』
『桧山っち、マジでそんなの信じたのかよ!?』
『男子って単純!』
「マリエも陶一朗も酷いなぁ~!
俺だって最初は怪しんださ!
でも、機械科はバイクの免許取るのにもプラスになるし、自分で整備とか出来るようになるって言われたり、夏休みは男女複数でバイクツーリングしたり、教室の中では女子はキャミソールで授業受けたりとか、中学生の俺の頭ん中に凄い単語をいっぱい叩き込んで来たからつい……ハハハ……!」
『リュウ、恥ずかしすぎるよ。
だからねぇ、入学式の時に私に絡んできたの!』
『美華、そんなことがあったの!?』
『そうなのよ。
あれって、明らかに八つ当たりでしょ!?』
「だってさ、入学式に学校に来てみたら機械科に女子なんか一人もいないし、怒るにも先輩はもう卒業していないし!
俺のやるせない気持ちも分かってくれよ!」
『大体男子が居るのなら、女子がキャミソールでうろうろなんてしないでしょ!?
それに、だからって初対面で酷い言われかたしたんだから。』
美華は、入学式の事を思い出してまたプンプンと怒りだした。
あぁ~、やぶ蛇だぁ~!



