KISS AND SAY GOOD-BYE






『今日おじちゃんは!?』



『あん人は、現場に出てるよ。

建設業界には土日も祝日もないからねぇ~!

天気さえ良ければ仕事してるよ。

そうそう、今度は東京タワーよりおっきな電波塔を作るそうだよ。』



『へぇ~、凄いなぁ~!

いつ出来るの!?』



『まだ土地の調査中だからねぇ。

10年以上掛かるって言ってたよ。』



『もしかして浅草通りの北側の大きな空き地が在るところですか!?』



『おや、お嬢ちゃんよく知ってるわね。

そうよ。

あそこに出来るそうよ。』



『へぇ、そっかぁ~!

楽しみだなぁ。』



「美華、そこ知ってるの?」



『うん。知ってるよ。

元々、あそこの土地はうちのお祖父ちゃんが所有していたんだよ。

それを売ってくれって何度も来ていたから。』



「そうなんだ。

ハハハ……

あそこの土地は美華のお祖父ちゃんのだったって事は、土地の売買で凄く儲かったんだろうなぁ。」



『リュウ、甘いよ。

あそこ売っても、税金で6割以上持っていかれるんだってお祖父ちゃんが言ってたわよ♪』



『6割以上!?

それは酷いわねぇ…!

でも、手元に残った4割だけでも凄い金額でしょうね。』



『まぁ、お金の話は置いといて、食事しようよ。』



『そうだね。

皆さん、どうぞ召し上がってくださいな!

蟹炒飯のおかわりも沢山ありますからね。』



『「『いっただきます!』」』



『おばちゃん、これ何!?』



『それはナマコだよ。』



『柔らかくて美味しいわ!』



「おばさん、この魚って鯉ですよね!?」



『そうですよ。

糖酢鯉魚(タンスーリーユイ)って言って、カリカリッに空揚げした鯉に、上から甘酢の餡掛けをしたものよ。』



「メチャクチャ美味しいです。」



『こちらのセロリと貝柱の和え物も最高!』



『あれ!?

ローストチキンかと思ったら、何か全く違うわ!

マコチャンママさん、これって何て料理なんですか!?』



『これはね焼鶏(シャオチー)って言うのよ。

主に、お祝いとかめでたい席の料理なんだけど、うちの誠君が大好きだから良く作るのよ。』



『これって作るの難しいのですか!?

良かったら、作り方教えてください。』



『良いわよ。

作るのには、凄く時間が掛かるんだけれど、作り方自体はそんなに難しい料理じゃないのよ。

先ずは、丸々一匹の鳥を用意して、表面に山椒の粉と粗塩をすりこむようにするの。

この時、お腹の中にも山椒の粉と粗塩を塗り込むのを忘れないでね。

それを大体10時間、冷蔵庫の中で寝かしておくの。

寝かしたら、表面にたまり醤油を塗るんだけれど、私たちは中国製の老抽王(ラオチュウワン)と言う醤油を使うのよ。

そして、たまり醤油を塗ったら、180℃くらい高い温度の油で、表面に火が通るくらい揚げるの。

そうしたら、油は凄い勢いでザッ~って成るから火傷には気を付けてよね。

揚げ終わったら、とっても油が汚れちゃって使えないから、これを遣るときは古くて捨てる手前くらいの油が良いわね。

そして、揚げた鶏のお腹の中にスライスしたショウガやニンニク、白ネギを突っ込んで最後に五香粉(ウーシャンフェン)って粉をお腹の中に振りかけておくの。

それを蒸し器に掛けて、蒸気が上がり出してから1時間蒸しあげたら完成よ。

あとは、それを冷蔵庫の中で冷やしてから捌いて盛り付けて出来上がり!

どう、時間は凄く掛かるけど作り方自体は簡単でしょ!?』



『が…頑張って見ます!』



料理方法を紙に書きとめながら不安そうな顔をしている美華!



作るときは俺も手伝ってあげようと思う。



その後も皆、美味しい美味しいと、口々に絶賛しながら、料理はどんどんと胃袋の中に消えていった。