KISS AND SAY GOOD-BYE

 



「ハルモニ(お祖母さん)ただいま!

今日は、友達も一緒なんだけど良いかなぁ!?」


『ケンチャナヨ!(大丈夫だよ!)』


「じゃあ、キムチとご飯とソルロンタン2人分お願い。

それと、トラジのナムルもちょうだい。」


『ネェ。アラヨ。
(ハイ。分かったよ。)』


「じゃあ、2階の座敷に行くから。」


『お邪魔します。』


『あらまぁ、可愛い子だねぇ!

隆元(ユウォン)、彼女かい!?』


「違うよハルモニ(お祖母さん)。

チング(友達)だよ!」


『オモオモ(あらあら)チョンマレヨ!?(そうなのかい!?)』


ばあちゃんがしつこく詮索してくるから、滝本ちゃんを促して、2階の座敷に上がって行った。


『凄い!

桧山君って、韓国語話せるんだ!?

おばあ様、何て言ってたの!?』


「滝本ちゃんが可愛い子だって言ってたんだ。」


『チングって言ってたよね?

どういう意味なの?』


「チング!?

友達って言う意味だよ。」


『そうなの……。

…………

…、あのさぁ…桧山君って彼女居るのかなぁ!?』


「どうしたんだ急に?

俺に惚れた?」


『……』


「何か言ってくれよ。

何、黙ってるんだよ。

もしかしてマジで惚れたの?」


『智絵ちゃんから聞いたんだけど…、桧山君って本命の彼女作らないって言ってたから。』


「別に作らない訳じゃ無いんだよなぁ。

ただ、本気で好きになれる奴が、居なかっただけなんだ。

俺が在日韓国人だって知ったら、離れて行った奴も居たし、まだ中学生だったしな!」


『そうなんだ!

ねぇ、私じゃダメかなぁ!?』


「どうしたんだ?

俺は、在日だぜ!

それに、滝本ちゃんはヒマワリTVの社長令嬢なんだよ。

畏れ多いよなぁ。」


『関係無いじゃん!

私は、私。』


「そうだけどさぁ。」


『多分だけど、始めて会った時から、桧山君が気になってたんだと思う。

2回目に会った時には、確実に気になってたんだよ。

火傷したって聞いた時には、心臓がうるさいくらいにドキドキいって、その日は寝れなかったんだから。

スッゴい心配したし、涙だって出たんだから。

安西プロデューサーに、友達ですって言ってたの聞いて、また胸が苦しくなったし。』


「ありがとう。

好きになってくれて。」