梨泰院(イテウォン)のメインストリートとも言える、 梨泰院1洞から東側の漢南2洞までの約1.4kmの通りを、美華の手を握りゆっくりと歩いていった。
昔、戦争が終わった後、米軍がこの辺に駐屯したのがきっかけとなって、自然と居住スベースや商業施設他色んなものが出来ていき、ノンブランドのショッブから、世界各国の料理が食べられるレストラン街等が出来ていったのだ。
その上、ソウルで様々な国際的なイベントも開催されたため、韓国の中でもイテウォンだけは雰囲気が違って見える。
旅行者も馴染みやすい雰囲気があり、国際色豊かなイテウォンは、美華の目を楽しますのに十分なところであった。
目移りしてしょうがないのか、俺の手を引っ張って、右へ左へと連れ回された。
その上、さっき鱈のチゲを腹一杯食べたのに、屋台のチヂミやオデンを見て欲しがっている。
フルーツのスムージーを片手に、ウィンドウショッピングをしてから、大きなデパートの様な造りの建物の前に来て立ち止まった。
『ここは!?』
「ここはね、1階から最上階まで全部土産物売り場になっているビルなんだよ。」
『そんなのが有るの?』
「そうなんだよ。
一見してデパートの様にも見えるけど、中は贈答品や土産物の中でも、旅行者の好みそうな物ばかりを集めて販売している、ちょっと変わったところなんだよ。
上の方へ行くほど高価な品があるって言う、少しふざけたところなんだけどね♪
1階は、殆ど百均に近いもんがあるんだよ。」
中に入り、クラスメイトや家族にお土産を買って、気が付けば夕方の4時になっていた。
「美華、そろそろ会社に戻ろうか!?」
『そうね!』
と言うことで、地下鉄梨泰院(イテウォン)駅から、6号線に遣ってきた電車に乗り込んだ。
電車が動き始めると、いきなり
【 クルセ ヨロブン トゥルロソ オセヨ、ポアソ オセヨ……! 】
『キャッ、何!?
喧嘩!?』
驚いた美華が、俺の腕にしがみついて後ろを振り返っている。
それもそのはず、いきなり大声で車内販売を始めたのだから、初めて地下鉄に乗った者なら誰でも驚くし、あまりの大声に喧嘩と勘違いしても仕方無い。
「ハハハ、美華、ちゃんと見てごらん。
喧嘩じゃないから。」
『あら、本当だわ!
何!?あれって何か売ってるの?』
「正解!
無許可で遣ってる車内販売だよ。」
『無許可で!?
日本じゃマジでありえないわ!』
「だろうな!
でも、韓国じゃあ良く見る光景なんだよ。
ほら、今売ろうとしている雑誌とか新聞は、朝の駅のホームのゴミ箱から拾ってきたものとか、車内で拾って来たものなんだよ。
懐中電灯や虫メガネまで売るんだから!
どうだい?
面白いだろう!?」
『そうね!
確かに日本じゃ見ることなんて出来ない光景だわ!』
車内販売以外にも、自転車を車内に乗り込んで来たのを見た美華はかなり呆れていた。
その後、新堂(シンド)駅から、地下鉄2号線に乗り換えて蚕室(チャムシル)駅へ!
5時前には、新星MUSIC本社に戻って来た。



