朝食も無事(?)に終わり、俺達も着替えて社長と一緒に新星MUSIC本社へ向かった。
車内で、
「桧山君、本社隣に在る新星アクターズスクールの方も観ていって損はないと思うよ。
日本サイドの新星アクターズスクールとは、雰囲気とかも違うし何か感じるものが有ると思うよ。」
『分かりました。
滝本さんと見て回ります。』
「滝本さんも、楽な気持ちで見学して、思ったことを聴かせてくださいね。」
『分かりました高山社長。
リュウ、一通り回ったら行きたいところが有るんだけど……』
「どこだい!?」
『リュウの実家のお店と同じ名前の梨泰院(イテウォン)ってところにある市場。
リュウの叔父様が言ってたの。
面白いところだから、1度見に行ったら良いよ!って。』
「梨泰院(イテウォン)かぁ。
確かに面白いところだけど、美華にはどうかなぁ……
安いコピー商品のお店とか、屋台ばっかだし、後は唐辛子売ってたり野菜や魚や肉が売られているだけだからなぁ。」
『そんなとこ見たことないもん。
見てみたいわ!』
「じゃあ連れてってあげるけど、俺から離れるんじゃないぞ!
迷子になるからな。」
『まかせて!
もう子供じゃ無いんだから、迷子になんてなるわけないし、最悪もし迷子になっても、タクシーに乗って【新星MUSIC本社へ!】って言えば大丈夫でしょ。』
「【しんせいみゅーじっくほんしゃ】って言ってもタクシードライバーには通じないよ。
ソンパグチャムシルドン エ シンソンムジクボンサって言わないとね!」
『何その【損はグー!茶無視る丼】って!?』
「むちゃくちゃだな!
ソンパグ チャムシルドンって言うのは、漢字で書くと【松坡区 蚕室洞】って書いて、新星MUSIC本社の所在地だよ。」
『どんなどんぶりの話をしてるのかと思ったら、会社の所在地かぁ。
忘れないように覚えておこう。
ソンパグ チャムシルドン の シンソンムジクボンサね!
OK!覚えたわよ。』
「さぁ、二人とも到着したよ。
私は6階の社長室に居るから、何か有れば連絡してきなさい!
それじゃあ、見てまわっておいで!」
『はい、それではここで失礼します。』
と言って、エレベーターの前で高山社長と別れた。
「美華、行こう!」
『うん。
それよりリュウ、さっき高山社長と何コソコソ話していたのよ。』
「さっきって!?」
『車に乗る前だよ。
庭の隅で二人、ハングル語で喋ってたじゃない!』
「エッ!
あ…あれ!
あれは……そのぉ…何て言うか………」
『何よ。
私には言えないの!?
隠し事!?』
「そ…そうじゃないんだよ。
何て言うか…」
『何なのよ。
焦れったいわねぇ!
私だけ除け者にして!
分かったわよ!
どうせハングル語も喋れなければ、聴いたって分かんないから、秘密にすれば良いわよ。
もうリュウなんて知らない!』
「分かった分かった!
言うよ!
そんなに怒るなよ。」
と言っても、まだ膨れっ面をして美華はこっちを睨んでいる。



