高山社長宅で、焼きたらば蟹からカニ鍋、〆にカニ雑炊まで食べてから帰宅した。
案の定、哲壽(チョルス)さんとデートしている彩英ヌナ(チェヨン姉さん)ことアヤ姉は、帰ってきていなかった。
リビングではアボジ(親父)とオムニ(お袋)がこたつに入ってテレビを観ていた。
「ただいま!」
『おう、ユウォンお帰りなさい。
初日の出はどうだった?』
「まぁ、それなりに良かった。」
『遅かったけど、滝本さんとこの娘さんとデートしてたんかい?
ご飯は?』
「さっき、高山社長宅でたらふくたらば蟹を食べてきた。」
『へぇ、賢主氏(ヒョンジュ君)は元気にしてるかい?』
「社長は、相変わらず元気にしていますし、凄い冗談を言って私を試すんですよ!」
『ハハハ、相変わらずだなぁ~♪
彼はさぁ、気に入った人材を見付けると、良くとんでもない事を言って、人を試すんだよなぁ。
ユウォン、お前、気に入られている証拠だよ。
そう言えば、母さんから聴いたけど塾を継ぎたくないって!?
高山君の会社に就職したいとか言ったそうだな!?』
「はいアボジ(親父)、スミマセン。
あの会社って、凄く面白くて遣り甲斐があるんです。
アヤ姉に継いで貰って!」
『まぁ、チェヨンも継ぐって言ってたからそれは良いんだが、後から高山君の会社を辞めたから、
やっぱり塾は俺が継ぐ!
って言ってきてもチェヨンと喧嘩になる元だから、良く考えてから決めなさい。』
「そんなことには成りませんよ。
まず、今春から3年生になるんですが、進学クラスに編入します。
これは、既に担任の方に申請して試験を受けて通ってますので。
そして、目標はW大学の文化構想学部を受験しようと思います。
あそこの大学は、学部の壁を越えた700も有るブリッジ科目から講義を選択出来るシステムで、新星グループに入社してから役にたちそうな講義を選択出来ると思うんです。
ですから、心配しないでも大丈夫ですよ。」
『ほほう! そこまで考えているのか。
明日、高山社長と会う約束してるから、私も話を聴かせて貰うとするか。』
「アボジ(親父)、余計な事は言わないで下さいよ。」
『心配するな!
まぁ、私も塾を経営しているから、教え子の就職先とかのパイプも作っておかないとな!』
「またまた、そんなこと言って、ただ飲みに行くだけじゃないですか!」
『ハハハ、まぁそうだな。』
「ヨボ~(あなた~)、飲み過ぎだけは気を付けてね。」
『そうだな。』
「それじゃあ、ちょっとこれから高山社長から頼まれた書類を作らないといけないので、2階に居ますから晩御飯が出来たら呼んでください。」
と言って、冷蔵庫から500mlのスポーツドリンクを持って、2階の自分の部屋に向かった。
階段を上がって直ぐの12畳の和室はアヤ姉の部屋で、突き当たりの12畳の洋間が俺の部屋だ。