KISS AND SAY GOOD-BYE

 



「やっても良いぜ。

だいたい時間は何時から!?」


『土曜日の昼12時からスタートして、その日は夜の7時まで。

日曜日も、同じだよ。

でもね、スタッフは朝の9時からスタートして、終わりは夜の9時まで。

その間は、殆ど休憩無しで重たい荷物持って走り回って、食事もスタート前に食べたら、終わるまで食べられ無いと思うよ。』


「労働基準法に違反してるな!」


『仕方ないじゃない。

視聴率の為には、何処も一生懸命に頑張ってるのよ!

それなのに、不景気でスポンサーは少ないから、経費は削減されて、少ない人数で頑張っているんだから。』


「まぁ、分からんでもないが。

いつから行けば良いのかなぁ!?」


『明後日の土曜日からなんだけど、大丈夫かなぁ!?』


「良いぜ。」


『じゃあ今日、学校が終わったら、一緒にヒマワリTV迄行ってくれるかなぁ?』


「わかった。

それじゃあ、15時30分に正門前で待っているから。」


『ありがとう。

助かったわ。』


「他にも誰かバイトすんのか!?」


『私もやるんだ!』


「こんなに大変なバイトをやんの!?」


『だって、パパのスタッフが困っているんだから、娘の私が助けてあげなきゃ。』


「大丈夫かよ!」


『まぁ、何事も経験だから!

力仕事は桧山君お願いね!

私は、心配りで頑張ってみるから。』


「それ酷くねぇか!?

俺はしんどい思いして時給1000円で、そっちは楽して同じ時給って!」


『だって私は、か弱い女の子なんだから。

ちゃんと桧山君のフォローしてあげるからね!』


「わかったよ!

だいたい月10万円くらいにはなるな。

バイクの免許代が出そうだ!

で、何ヶ月くらいの間働けるんだよ!?」


『とりあえずは3ヶ月間だよ!

もしレイティングが良ければ、更に3ヶ月出来るよ。

全て視聴者次第って事!』


「この世界って、結構シビアなんだな。」


『だよ!

以前なんか、お笑い芸人がレギュラー番組の生放送2時間スペシャルで、放送禁止用語をポロッと言って仕舞ったの。

毎週視聴率18%から25%ぐらい合ったけど、一気に打ち切りになった事あんだから。

その芸人は、始末書書いて、もう5年以上ヒマワリTVを出入り禁止になってるってパパが言ってた。』


「マジで?」