思い出したのは、そう

その一瞬の痛みと、溺れるほどの快楽
それほどの強い願い

私だけの甘い痛み
それは私への罰
ずっと夢のなかには留まっていられない

「チェシャ猫、私はどこで間違ってしまったの?」

「アリスはなにも間違ってない。だから願いがかなうのさ」

「本当の私は暗い所にいた。怖いよ、チェシャ猫」

「ずっと夢の中にはいられないんだよ、アリス。でも、君は願うことができる」

「願ってる。ずっと願ってたわ」

「倒錯した中で、君は何を願った?俺たちは君を失うのが怖いんだ。だからここは倒錯の国」

「……わからないわ」

「今はいい……それでいいよ、アリス。さあ、おやすみ。次の夢でまた会おう」

「でも、それでまた何か嫌なことを思い出したら……」

「恐れないで、アリス。君の願いを叶えるために倒錯の国はあるんだから。さあ、ほら」




――知っていても、願わずにはいられなかった

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