「調査中なのに、あの学校を離れちゃってよかったの? 

もしかしたら、お姉ちゃんがいない間に事件が起こっちゃうかもしれないよ?」


「まあ…。

その心配はあるけど、そのことも考えて、それぞれに方陣を引いてきたし、式も数体飛ばしてきたから」


「そっか。

お姉ちゃんだもんね。

その辺のぬかりはないわけだ」


「そういうわけではないんだけど…。

私が今、あそこにいても、無駄な時間だけが過ぎそうな気がしたから…」


「ふ~ん…」





 軽く頷きながら、唯香はテーブルの前に座ると、深青のために持ってきたはずの茶菓子を摘んだ。


「――で? 

お姉ちゃんが私の意見が聞きたいって、一体何が聞きたいの?」


「うん…」





 深青はテーブルを挟んで唯香の前に座ると、鞄の中から分厚いファイルを取り出した。


 そして、それを広げて唯香の前に差し出した。