「深青さん…。

そ、そうですわよね。

お姉さまのためにも、義父が恥をかかないように、今度のお披露目をしっかりとすることですわね。

ありがとう、深青さん!」





 落ち着いた真理亜はギュッと深青の手を握りしめた。


「そうだわ、深青さん! 

ぜひ、今度のお披露目会には、深青さんも参加してください!」


「えっ!? そ、それは…」





 この学校でも有名な阿部家。


 その阿部家のパーティーに参加するなんて、場違いも甚だしい。


 すでに、この学校に通っていること自体、仕事のためとはいえ、場違いだと感じている深青にとっては、より一層そう思わずにはいられなかった。


「いいえっ! 

この学校で、初めてできたお友達ですもの。

ぜひ、両親にも紹介させてください」


「いや、でも…」











 パーティーに招待する気満々の真理亜。





 深青にとっては、とんでもない事態へと発展してしまったこの展開。


 この後、深青は全く折れない真理亜を説得することにかなりの苦労を要した。


 そして、そのために、あの時一瞬感じた違和感を、すっかり忘れてしまっていた。