「はい。

この学園にはもう一つ教会があるんですよ。

池の辺に建てられている教会なんですけど…」





 にっこりと微笑む真理亜に、深青は肩をすくめた。


「そんな教会があるなんて、私は全然知りませんでした――…。

先日、校内を知るために案内図を見ましたけど、そのような教会は載ってなかったような気がしましたけど―――…」


「ええ。

それもそのはずです。

その教会は、学園のものというよりも、個人的な教会ですから。

いわば、個人資産の一部であり、家とでも言うのでしょうか? 

ですから、学園の中にありながらも、学園のものではないのです。

ですから、案内図にも載せられてないのですわ」


「そ、そうなんですか………」





 実は説明を聞きながらも、ほとんどチンプンカンプンな状態だった深青。


 個人資産や学園に敷地内にありながらも、学園のものではないとか、法律的にはどうなのかはわからないが、真理亜の言っていることを深青は黙って聞くしかなかった。


「でも、授業が始まるのに、真理亜さんは教会に行っても大丈夫なのですか?」


「はい―――…。

このことは、教科担任には話してありますし、いつものことですから。

あっ、それなら、深青さんも一緒に行かれますか?」


「え? 私も――? 

ご一緒してもいいんですか?」


「はい」


「あ…、でも、授業が―――…」