時計を見る深青。


 昼休憩を挟んだ休み時間ならいい。


 だが、今の時間は三時間目から四時間目へと移る時間。


 休憩時間はたったの十分だ。


 もちろん、深青はそれまでには教室に戻るつもりだが、この学校の生徒はさすが真面目なだけあって、休み時間にも次の授業の予習などをしている。


 だからこそ、真理亜のその時間を奪ってしまうことに、深青は申し訳なく思った。


「阿部さん。

本当に私は大丈夫ですから。

阿部さんは次の授業の準備をしてください」


「あ…。

もしかして、予習のことを心配なさっていらっしゃるんですか?」


「・・・・・・」





 図星なだけに、何も答えられない深青。


 そんな深青を見て、真理亜はクスクスと笑った。


「大丈夫ですよ。ご心配頂かなくても。

私、これでも成績は優秀ですから」


「でも…」