深青は無意識に自分の胸に手を置き、服を掴んだ。


 綺羅が自分のことを探してくれていること。


 それは松下たちからも聞いていて、知っている。


 だからこそ、自分も同じように会いたい深青は聞けば聞くたびに、すぐにでも彼の元へと飛んで行きたくなる。


 そんな衝動を深青は湧き上がってくるたびに、必死に抑え込んでいた。


「だから、その事に関しては心配するようなことはないよ。

これ以上は調べられないようにも、しているしね」


「はい―――…」





 綺羅の話を聞き、高ぶっていた感情を抑えようと必死に耐えながら頷く深青。


 そんな深青に優しく微笑んだかと思うと、松下は真剣な目で深青を見てきた。


「それで、ここからが本題なんだが―――…」





 恰幅がいい松下が、姿勢を正すとなんとも言えない迫力が増した。


「深青ちゃんが言っていたとおり、すでに聖マリオネット女学院には二人目の犠牲者が出た時点で、組織の人間を三名送り込んだ。

それも、エキスパートだ。

だけど、三人ともがその事件の謎を解き明かすことができなかったばかりか、被害に遭い、調査を中止するということに陥ってしまった」


「それは―――…」