「ホントだよ、まったく。
くされ縁ってか、先生の嫌がらせ?
イジメ? パワハラ?」



おさまらないドキドキを隠すように、悪態をついてみる。




「なっ…ひっで〜なぁ、そこまで言うか。
俺はすっげぇうれしいけどな。
これで宿題しなくても…」


言い終わらないうちに、背中を叩いてやる。




「もうっ!受験生なんだから、宿題くらい自分でしなよ!」




「はは、そうだな。
いい加減自分でやらないと、マジで高校行けなくなるよな。」



「…そうだよ。」




何気なく言ったはず、

深い意味なんてないんだ、

と自分に言い聞かせるけど、祐輔の言った“うれしい”の言葉は耳から離れなくて、

胸のドキドキは、おさまる気配をみせなかった。