「お天気になって良かったね」





車の窓越しに流れる景色は


すっかり秋色に変わっていた





「…そうだね」




どこか憂いを含んだような顔をしている塚本さん




―疲れてるのかな…







バイトをしながら


来春からの


大学院進学を決めた塚本さん




今日は塚本さんの家で


二人っきりの


お祝いのパーティーをすることにしていた






「ねぇねぇどうかしたの?」




信号待ちで話しかけてみる





歩道をサッカーボールを蹴りながら

楽しそうに走っていく子どもたち


うれしそうな笑い声が車内まで聞こえてくる






「どうもしないよ?」





いつものように笑顔を見せてくれ



いつものように手を握ってくれる






―なんかいつもと違う気がするけど…

気のせいかな





そっと微笑み返し


ギュッと手を握り返す