「う……ん」

 鳴り響く目覚まし時計に対して、もう少し寝かせろと恨み言を漏らすかの如く、部屋の主であるこの人物が身体をゆっくりと起こす。

 やっと……やっと目を覚ます。
 かなりの余談とはなるが。この部屋の隣に住んでいるおばさんは、ほぼ毎朝行われるこの『朝の儀式』に文句を言う気力さえ無くしていたりする。

 この『人物』、自らのことを『Chika』と名乗っている。ローマ字表記では読みにくいのでここでは『チカ』と呼ぶことにしよう。