オカシナふたり

 この少年には込み入った事情があり、自分の家には帰りたくないのだ。
 その理由は一緒に暮らしている母親との折り合いが悪いなど様々なものがあるのだが――。

 少年は昨晩自分の怪我を治療してくれたこの部屋の主である女性を思い出した。

(優しそうな人だったな――)

 自分の怪我の介抱をしてくれた礼を言おうと思い周囲を見回したが部屋の中には人の気配は無い、女性はすでに外出した後のようだった。