「真樹?」 背中から聞こえた弦の声が聞いたことないくらい優しくて、壁を向いて目を瞑っていたあたしは思わず寝たフリをしてしまった。 「寝たのか?」 思ったより近い声に心臓が跳ねる。 もう一度ベッドが軋み、あたしの上に陰ができた。 髪を撫でられ、耳にかけられる。 露になったこめかみに柔らかい感触と吐息。 「…ふざけんなバカ真樹。」 切なげに呟かれたその言葉は、耳元からダイレクトに脳に響いた。