『真樹のこと?俺が?なわけなくない??』


『でも、仲良しじゃん。幼なじみなんでしょ?』



『もし俺が真樹のこと好きなら、お前と付き合ってないから。』


『ほんとに?』


『ほんとほんと。あいつはただの腐れ縁。なんの感情もないよ。』





――…なんでこんな夢。


家に帰って、知らないうちに寝てたらしい。


…嫌な夢見たな。


弦と彼女の会話。

偶然聞いてしまったのは中1の夏。


中学に入り、恥ずかしいから行き帰りを別にしようと言われた頃だった。




彼女が出来たからって言ってくれれば良かったのに。


それまでは嘘も隠し事もなしでお互いの弱点まで全部知り尽くしてた仲だった。


破ったのは弦だ。


ただの腐れ縁。
そうでなきゃいけない。

お前がそう言ったんだよ。


それなのに、なんで今更キスしたいなんて言うんだ。

弦の馬鹿。