帰る前、田野くんを捕まえた。
話をしようと思った。


「ホームラン、ホントに打ったね。
おめでとう。」


まず、当たり障りのないよう、
田野くんを讃えた。


田野くんはまた、真っ赤になった。



「僕は…
あなたのことが、好きなんです。
だから、ホームランも打てたんです。」


田野くんが突然、私の腕を取って言った。



びっくりしたけれど、私の頭には瞬間的に、
東くんの顔が浮かんで、
次の瞬間には答えは決まっていた。