迷い猫





過呼吸になりそうになる。



あの記憶が蘇りそうになる。



それを私は必死にこらえた。
今、ここで過呼吸なんかになったら...アオに迷惑をかけてしまう。



大丈夫、隣にはアオが居てくれる。
怖いものなんて、何一つ無い。



そう自分に言い聞かせながら、繋いでるアオの手にぎゅっと力を入れた。



アオも強く、でも痛くない程度に握り返してくれた。




優しくて大きなアオの手。
でもやっぱり男の子なんだな、って実感させられる。



大通りを少し歩いた所に、アオの行き付けらしいスーパーマーケットがあった。



2人で今日の晩ご飯の食材を選んでると、何だか新婚夫婦みたいな感じで、嬉しくなった。



「あっ、この苺美味しそう!」


野菜コーナーを見ていると、赤くて美味しそうな苺を発見した。
昔から苺には目がない私。


「ほんとだね。買ってあげようか?」


「えっ?...いいの?」