見回りしているおまわりさんに見つかったら、家に連れ戻される。




だから私は、繁華街の路地裏に逃げ込んだ。




「はあ...ここ臭い」




路地裏は真っ暗で近くにあるゴミ箱からは、生ゴミの悪臭が漂っていた。



「ミャー...」




その場にしゃがみ込んだ私の足元で可愛い子猫の鳴き声がした。





「お前も迷子?」




毛色が真っ黒で痩せ細った子猫を抱き上げ、子猫に問いかける。



「...ミャー」



子猫は私の問いかけに答えはせず、ただただ弱弱しく鳴いた。