迷い猫





「どうぞ」



「...お邪魔します」



大きい玄関に
大きいリビング。



私は遠慮がちに
部屋にお邪魔させてもらった。



「あ、あの...お家の方は?」



こんな大きい家に1人なんて有り得ない。
きっとご家族も一緒なんだろう。



「俺1人暮らしだよ」



サラっと吃驚発言をした男の人は
ニコっと笑った。



...いや、笑えないって。



「あ、ねえ。」


「......」


「名前聞いてもいい?」


「.......」



「おーい」



「...李桜」




そう小さく答えると


「李桜ね、了解」