なのに。


『わ、わたしは何もしていないぞっ』


何もしてないやつはそんなこと言わないし。


ここにいるほとんどのやつが見てんだっつーの。


「いいから、いくぞ」



そのまま手を引っ張って偶然着いた駅へと降り。


そこの駅員さんにおっさんを渡すと、後ろから聞こえた小さな声が、俺の耳を震わせた。