その背中は、誰が見ても分かるほど震えていて。 なんで誰も助けないんだよと、内心舌打ちしたい気分になった。 けど、今はそんなこと考えてる場合じゃない。 助けないと! 俺の心のどこかにあった正義感的なものに体が動かされる。 何人もの人を押しのけ、そこへとたどり着くと同時に、 「なにやってんすか、おっさん」 痴漢真っ最中のその手をつかむと、おっさんはひっとなんとも情けない声を出した。