『新宿行、発車します』 あれから10分。 結構ゆっくり歩いてきたはずなのに、あまり時間が経っていなかったことに気づく。 電車内は、卒業したような人達で溢れかえっていて、ちらほらと子供や大人がいるような状態。 隣にいる同い年くらいの女からは、明らかに付け過ぎな香水が匂ってくる。 やべぇ、もう気持ち悪くなってきた。 少しでも離れようと、体をひねって頑張ってみる。 そんな俺の努力は、グラリと揺れた電車のせいでムダに終わった。