☆甘い体温・短編集☆


もどかしかった。


何もできない自分が。


まだまだ一人では不自由な事ばかりの現実が、嫌で嫌でたまらなかったんだ。



「この先ずっと一人で生きていくって決めてたから…」


「果歩……」


「だから、未成年の自分が嫌で嫌でしょうがなかったの」



正直、陽生と出会ってからはそんな気持ちは変わったと思う。


自分がこの先一生一人でなんか生きてけないこともよく分かったし。


でも、それでもやっぱり早く一人前になりたいって思う気持ちは変わらなくて……




「早く大人になりたいな……」




最後にそう呟いてそっと瞳を閉じた。


そのあと陽生は何も言わなかったけれど。


さりげなく腰に回してくれた大きな手。


黙って、隣で私の話しを聞いてくれるその姿がやっぱりとても気持ちよくて。


そんな心地よさに酔いしれながら、私の意識はとうとうそこでプツリと途切れてしまった。