☆甘い体温・短編集☆


「いいからもうどっかに消えてよ!」



私は宮川恭介の体をあからさまに押して立ち上がった。


このままじゃ…、陽生だって戻って来ちゃうのに。

こんな所で鉢合わせなんかしたら、それこそ余計ややこしいことになるに決まってる。


だけど…





「待って!」




その瞬間素早く手を掴まれて、私は動きを封じられてしまう。



「頼むから送らせてよ。ちゃんと謝りたいんだ。それにこの荷物も一人で持って帰るのも大変だろ。だからせめて今回だけは送らせてくれないか」



目の前で宮川恭介の真剣な瞳が真っ直ぐに向けられる。



ああ、もう!


本当にどうしたら……


たまらず掴まれた手をぶんぶんと振りほどこうと試みる。


だけど、そんな抵抗は宮川の前ではびくともしない。


そして……、そのままさらに手をぎゅっと握られた瞬間、突然横から聞き慣れた低い声がした。





「その必要はない」




直後、手の上でパシリと強い衝撃を受け、掴まれていた手が一気に緩む。


目の前の宮川恭介の手が思いっきり私から突き飛ばされ、その体が勢いよくよろけていく光景が飛び込んでくる。