☆甘い体温・短編集☆


「ねぇ、今から帰るんだよね?よかったら俺が車で送って行こうか?」


「は?」


「実は俺も今ちょうどここでの仕事がひと段落したところでさ。ほら、来月オープンする新しいショップの家具全般をうちの会社で用意することになってね。
今やっとその打ち合わせが終わって帰るところなんだよ。だからよかったら一緒にどう?」



さっきからこの人は人の話を聞いてないんだろうか?

そもそも、どうしたらそんな展開になれるのか?


イラつく……


本気でイラつくよ、この男。


いっそ、そのベラベラしゃべる口を思いっきりホッチキスでとめてやりたい。



「あのねぇ、だから無理だって言ってるでしょ!?あんた、さっきから人が嫌がってるのが分からないの?!」


「………でも、せっかく会えたんだし、なんかこのままあっさりバイバイはなんていうのも寂しいっていうか……、ほら、正直俺も一度君にはちゃんと謝りたいと思ってたからさ」


「そんなのはいらない。とにかく無理。何が何でも無理なの!いいからこれ以上私に関わってこないで!!」


「べつに……、車内で襲ったりしないよ?」


「当たり前でしょ!!」



ああ、もう!


ああ言えばこう言う。


もしそんなことしたら、絶対タダじゃおかない。


それこそこの男の人格を疑うっていうか、人間として正真正銘のクズだと思う。