☆甘い体温・短編集☆


「単純」



陽生の胸の中で思いっきりクスクス笑うと、陽生もまた同じように笑いながら、私の頭をクシャクシャっとした。



「案外男なんてそんなもんだぞ。以外と大人なんてお前が思ってるほど曖昧で、格好悪くて完璧とは程遠いもんだ」


「……そう、なの?」


「むしろ大人の方こそ窮屈で、思うように動けないことが沢山あるから」


「そう、なんだ……」



窮屈かぁ……


何となく複雑な感じ?


正直陽生の言ってる事が全部理解できたわけじゃなかったけれど。


でも、それでもなんとなく陽生の切なそうな顔を見ていたら、子供は子供で、大人は大人なりにお互い結構大変なのかなって、そんなふうに思えたんだ。




「まぁ、ようするにちょと話がずれたけどさ、俺が何を言いたいかって言うとだな。

子供だからと言って何もできないわけじゃないし、大人だからといって、全て何でもできる訳じゃないってことだ」


「そっ、か……」



なんだかやっぱり不思議な感じがしたけれど、でも、それでもすっと気持ちが楽になった気がするのはきっと気のせいじゃないよね?


一気に自分の中のわだかまりが小さくなったっていうか。


少しスッキリした気分で顔を上げると、陽生の顔がいつもより少しだけ幼い感じに見えたんだ。