☆甘い体温・短編集☆


「少しは大人な気分は味わえたか?」


「えっ?」


「憧れてたんだろ?大人の女性に」



耳元をくすぐる声に、私は瞳を大きくする。


思わず窓越しで目が合うと、陽生が楽しそうな表情で私の手首に触れた。


そして指先で私の指を一本一本なぞり始めると



「ふっ。まだまだ何も知らないっていう手だな」


「えっ…」


「小さくて真っ白で、大人とは程遠いお子ちゃまな可愛らしい手」



クスッと笑った陽生がそのまま私の手をぎゅっと握る。



「でも俺は好きだけどなぁ。不器用で、この精一杯必死になって生きてる感じがたまらなく好きだよ」


「………」


「手だけじゃない。お前のこの危なっかしい性格も、この体も何もかもさ。俺は一生懸命ですごく好きだけどな」


「陽……」