ハッピーエンドじゃ終われない【短編】



『いつかまた会えるといいな』


切なげな声音に胸が疼く。


それに気付きたくなくて
代わりに触れてる彼の手に自分の手を重ねる。


『きっともう会えないわ』


小さく呟くと、
背の高い彼は少し寂しそうに笑った。


『……どうして?』


『……だって。もう一度貴方と会えたら、きっと私たちの物語はハッピーエンドよ』


軽く息を呑む彼。