いきなり私の前の席に女子が座って、いつの間にかうつむいていた私に声をかけてきたようだった。






あれ?



この声、聞いたことある──?






とっさに顔を上げると、私の前の席に腰掛けて、こっちに振り返る体勢になっている女の子がいた。






彼女は……






「えっ、映美佳?何でココにいるの???」






私の小学校からの友達、小谷映美佳(こたに・えみか)。






1年生の時は別のクラスだったんだけど…





どうして私の前の席に座ってるの!?






すると目の前の映美佳は、「やっぱりな」とつぶやいてから、真っ直ぐ私の顔をのぞいてきた。






「クラス名簿。自分の名前の真上、ちゃんと見た?」



「えええ?真上?」






私は慌てて、さっきカバンに突っ込んだクラス割りをまた引っ張り出して、2組の名簿を再確認した。






「あっ!映美佳、同じクラスだったんだぁ…」



「しかも出席番号も前後してるみたいだし、テストの時とかはこの席順で嬉しいよね」



「映美佳と久々に同じクラスになれたかも…!」



「私も良かったよ。1年の時の友達とはみんな離れちゃったから。ココに来るのがちょっと遅くなったのは、その友達と話し込んじゃってたからなんだけどね」



「あのね、映美佳。私、あゆと同じクラスなんだけど……」






映美佳が同じクラスであることに安心して、私はやっとこの教室で笑顔になれた。






そしたら急に緊張が解けて、さっきのあゆとの出来事を一気に映美佳に話していた。










「ああ、あの子が『あゆ』ね。そう言えば一回だけ柚のことで挨拶したことあるかも。えーっと…、多田歩美さん」






映美佳はまだ『ミワちゃん』と楽しく話し続けるあゆを見て、私の話と照らし合わせながら、2組の名簿を確認した。