「…なんか、拓が杉田に構いたい気持ちも分からなくはないかもな」
「…何?」
「なあ。俺に乗り換える気、ない?」
「………え!?」
なななななな……、何???
今…倉本くん、何て言った?
『乗り換える』ってつまり…、倉本くんと付き合えってコト???
「ちょっ…、待ってよ。私、そんな……」
「ぷぷぷ。すげー慌ててる」
「え、だって…」
数秒頭の中がフリーズして、それからまたゆっくりと働き始めた頭で少し考えて、ふと思った。
ちょっと待って。
まだ私、からかわれてる…!?
「あっ、あの……、本気…じゃないよね?」
「ん?」
すると倉本くんは、携帯を軽くいじりながら席を立った。
「本気だったら…、なんて言う?」
「……え?」
さっきまで笑っていたハズなのに…、急に倉本くんの表情が真剣になった。
うそ……
うそだよね?
だって……
…と、何か倉本くんが私をからかっているという根拠を探そうと思ったけど、頭の中から何も出てこない。
しかもよく考えたら…、私、倉本くんと二人きりになってる…!?
そんな状況に今更気付いて、突然緊張が私の全身に走った。
どうしよう…
こんな時、どうしたらいいの…?

