引っ込み思案な恋心。-2nd






急にそんなことを言われて、私の胸はドキンと高鳴った。





みんなの前ではずっと「知らない」を通してた倉本くんだけど…、やっぱり拓の事情、何か知ってるんだ…?






少しだけ、期待が芽生える。





だけど…、真実を聞くのはそれ以上に怖い。





でも聞かないと…、前に進めない気がする。








「アイツ、同じクラスの松沢と話してるだろ?」



「うん、そうみたいだね」



「松沢……、たぶんマジだぞ」



「え?」






倉本くんは用語集をまた自分のポケットにしまって、私の方を見つめてきた。





その表情は、かなり真剣だった。






「…相談されたことはある。詳しい事は口止めされてるけど…、松沢が必要以上に話しかけてくるから困るって」



「…そうだったの?」






それを聞いて……



少しだけ、ホッとした。





拓が松沢さんのこと、困ってるって言ってくれて。






拓は松沢さんに気持ちがあるわけではないんだ…。








「でもソレ、かなり前の話だから。中間テスト終わった直後…ぐらい?」



「え?なら今は……?」



「知らね。俺も最近拓とは一言二言話すだけだから。拓もそろそろ根負けしたかもなぁ〜」



「うそ……」






じゃあ、その間に拓が心変わりした可能性はあるってこと…?










「不安になった?」



「…なるに決まってるよ」






もしかして倉本くん……ワザと言ってる?





私のこと、からかってるの!?






ひどいよ、私…本気で拓のことで苦しいのに。