えっと…
とりあえず帰る用意……
数学の教科書とノート以外はカバンに入れて、終わったらすぐに帰れるようにしておこうかな。
そう思って荷物をまとめているところで、教室のドアが開く音が聞こえた。
え?
こんな時間に…、誰?
私がドアの方を見ると、そこにいたのは……
「…倉本くん?」
カバンを肩から掛けて、片手に携帯電話を持った倉本くんの姿があった。
さっきみんなと一緒に靴箱に向かったハズなのに…引き返して来たのかな?
「…杉田。まだ職員室行ってなかったのかよ?」
「あ、うん。倉本くんは?忘れ物?」
「あー、まぁそんなもん」
…と言いながら、倉本くんがこっちに近付いてきた。
私も大して気にしないでカバンに教科書とかを詰めていると、急に私の前の席に倉本くんが座ってきた。
え…?
そこ、倉本くんの席じゃない……よね?
「なあ…、杉田さぁ」
「な、何…?」
いきなり倉本くんに話しかけられ、私は驚いて片付けの動きを止めて、倉本くんを見た。
倉本くんはまだ携帯を持ったままだったけど、顔だけはしっかり私の方を見ていた。
「コレ……」
「え?」

