「そういやさー、何であかねちゃん達カップルは名字同士で呼び合ってるの?」






短い昼が終わろうとしている。






拓の部屋の窓から降り注ぐ日差しが傾き始めた頃、ようやく勉強会もお開きになったんだけど、みんなが勉強道具を片付け始めると、あゆがいきなり口を開いた。






…この前あかねちゃんが予想した通りにあゆに突っ込まれてるじゃん…っ!






事前にこういうことを予想していたにもかかわらず、あかねちゃんは目に見えて焦り始めた。






「えっ!?いや…まあ色々あるわけで…いーじゃん、別に」



「色々って何?ななっぺも『奈々ちゃん』って呼ばれてる割には『安森先輩』って呼んでるし」



「私?私は先輩が卒業したらって決めてるの。先輩が高校に入れば、校内で変に気を遣わなくて良くなるしね」



「へぇ〜。もうすぐ県立入試だよね?先輩大丈夫そう?」



「うん。しばらく電話でしか話してないけど…、模試の結果もいいみたいだし、このまま頑張れば大丈夫だって。…てか、あかねちゃんの話じゃなかった???」



「ああー!ななっぺ、話を戻さないでぇー」



「あかねちゃんが慌てる辺り、余計に怪しい……」






私はあかねちゃんから裏事情を聞いて、何で下の名前で呼び合わないのか知ってるんだけど…






知らないみんなは一斉にあかねちゃんと倉本くんを見てる。