引っ込み思案な恋心。-2nd






長い時間に感じた。





けど本当は数秒だったのかもしれない。






少し経って、拓がふっと笑ったような気がした。





そして、私の頭に温かなものが触れた。






「いや、マジで違うから。それ以前に俺、怒ってねーし」



「え?」





そんな拓の声が聞こえてきて、私はとっさに頭を上げた。





あ…、拓、笑ってる。





しかも私の頭に乗っているもの、拓の手だったんだ。





「柚は何も悪くない。だから余計なコトしたとか思うなよ。…不安にさせてゴメン」



「えっ!?でもずっと黙ってたし、機嫌悪いのかと…」



「あれは柚のコトじゃ…いや、柚のコトなのか?」



「え?」






何…、それ?




誤解だったみたいだけど、やっぱり意味は分からない。





すると、拓が私の肩に手を置いてきた。





足元の倒れたグラスがまたガチャガチャと音を立てたけど、そんなのに構わず、拓は更に私の身体を引き寄せてきた。






「たっ、拓!?」



「…あのさ」






今まで手をつなぐことはたくさんあったけど、こんなに拓と距離が近いことなんてなかった。





心臓の音が、すごい勢いで大きく、速くなっていく。





状況がいきなり過ぎて…全然分かんないよ。





どうしちゃったの、拓!?







「俺達、付き合い始めて4か月経つだろ…?」



「うん…」





私の耳元にボソッと入ってきた拓の言葉。





でも、緊張が高まった頭では上手く理解できない。





ただ、相づちを打つことしかできない。






「なんつーんだろ?俺もいたって健全な中2の男で…」



「うん」



「分かんねえかな?柚、頭いーんだろ?」



「え?あの…頭が回らなくて……」



「……俺さ、ずっと自分自身と戦ってたっていうか…。だから…」