「柚、良かったじゃん。なめらかにしゃべれてたし。瀬川も聞いたら惚れ直すんじゃない?」
「ななっぺ…、そこまで褒められると恥ずかしいんだけど……」
「いや、正直ここまでサクサク進むと思ってなかったよ。最初緊張してたみたいだから…」
「うん…緊張したけど、台本立てて読んだら視線が気にならなくなって上手く読めたかも…」
台本と資料を持って、ななっぺと体育館を出た。
今日の授業は昼までだったから…、さすがに教室には誰も残ってないかな?
「でも…、明日は2年生全員と保護者も入るからね。台本で隠してもさすがに人の気配は感じちゃうと思うけど、今日の通りに読めば絶対大丈夫だから」
「頑張るよ」
明日の事を考えると…、やっぱり緊張する。
でも先生やななっぺに褒められたし、さっきの通りにやれば……
…と思いながらななっぺと別れて教室の前まで戻ると……
あれ?
歌声が聞こえる???
課題曲を歌う合唱の声が聞こえてきて、私は驚いてドアの窓から教室の中をのぞいた。
…うそ!?
もう放課後になって1時間以上経ってるのに、何でみんなまだ合唱の練習をしてるの!?
教室の後ろに横に並んで練習を続けるクラスのみんなを邪魔しないように、私は音を立てないでドアを開けた。
…そう言えば、こうやってみんなの歌声を客観的に聞くのって…、初めてかもしれない。

