「どうしたの、あかねちゃん?」
「あ…、倉本のコト。アイツの下の名前、雅樹って言うんだけど」
「………ああ〜。そう言えば拓も倉本くんのこと『マサ』って呼んでるもんね」
「みんなの前ではずっと『倉本』で通してたのに……、つい言ってしまったよ。ショック……」
「え?別にいいと思うけど…。私も拓のこと名前で呼んじゃってるし」
「いや…、何というか、ポリシーの問題?」
よく分かんないけど…、二人の間に決めごとみたいなのがあるのかな…?
薄暗くてよく見えないけど、あかねちゃん、まだ恥ずかしがってるみたいだし……。
「…はあ。まあ付き合い始めて1か月ぐらい経つし、そろそろあゆ辺りからつつかれそうだから、みんなの前でも名前で呼ぶかな〜」
「そうだよ。私の時もみんなで冷やかしながら『拓って呼べ』みたいに言ってたじゃん」
「それ、ヒトゴトじゃなくなってきたな〜。今なら柚の気持ちが分かるよ」
「でも二人きりの時に呼んでるなら、そんなに恥ずかしがることないと思うけどな…」
北風が街路樹を揺らす。
顔に当たる風は寒いというより痛いという感覚だけど、あかねちゃんは「顔だけ熱いー!」とまた叫んでいた。
「でもさぁ…、雅樹がどう出るかなんだよね〜」
「倉本くん?そう言えば倉本くんもずっと教室では『馬場』って呼んでるよ?」
「でしょー?アイツ実はさぁ…、リアルツンデレだから」
「…え?」
リアルツンデレ……???

