先生から台本のプリントを受け取って、それまで自分の座っていた席に戻ると、隣に座っていたななっぺに背中を叩かれた。
「台本だー!やっともらえたんだ?」
「あ、うん。これ見ると本番近付いた感じがしてきたよ」
「…言っとくけど、台本見ながらアナウンスできるから、覚えなくて大丈夫だからね」
「それ……、先生にも言われたよ」
「ははは。ごめんごめん。二回も言うなって感じか」
「合唱コンクール終わったらすぐに学年末テストのテスト期間に入るから、勉強の方も暗記そろそろ始めたいし、それ以前に課題曲と自由曲の歌詞も曖昧だし…、覚えることたくさんあるから台本までさすがに手が回らないよ」
「歌詞うろ覚えなの?柚にしては珍しいね」
「クラスの練習、あんまり参加できなくて……」
「確かに!何で他の学年の合唱コンクールの雑用までって感じだよね。まあうちらも手伝ってもらうから文句言えないけど」
するとななっぺが不意に入口の方に顔を向けて、それから私に笑顔で向き直った。
「あかねちゃん来てる!行こうよ、柚」
「え?あかねちゃん???」
何であかねちゃんがこんな時間にこんな所まで???
ふとそんなことを思ったけど、ななっぺに促されて、私は慌てて台本と今日もらった資料をカバンに詰め込んだ。

